不動産売却には仲介や買取、個人間取引などさまざまな方法が存在します。
一方、そういった通常売却とは区別される特殊な売却が任意売却です。
任意売却は通常売却とは異なる準備や手続きが必要ですが、場合によっては通常の売却では解決できないトラブルにも対応が可能です。
今回は任意売却と通常売却との違い、そのメリットやデメリットについて確認してみましょう。
任意売却とは？
任意売却とはローンの残債が残っている不動産を、金融機関など債権者の許可を得たうえで売却することです。
基本的にローンで購入した物件は残債が残っている状態では売却できず、ローンの滞納を続けてしまうと、最終的に物件は強制的に競売にかけられてしまいます。
競売は入札価格が低くなりがちなので、売却後に債務者が残債を支払えず自己破産してしまうケースも少なくありません。
金融会社としては、自己破産されてしまうと債権の回収が難しくなるため、妥協案として任意売却を認めるのです。
任意売却はローン以外でも固定資産税などの納税が滞納している場合にも活用できます。
また離婚時にローンの残ってる不動産を財産分与する方法としても利用可能です。
任意売却のメリットとデメリット
任意売却の大きなメリットは市場価格に近い金額で売却可能な点です。
売却価格が低くなりがちな競売に比べ高額で売却できるため、より残債の金額を減らせます。
売却後も残ってしまった残債は少しずつ返済しなければいけませんが、現実的な返済プランが提示されるため多くのケースで負担は軽くなります。
また任意売却は通常売却と同様に購入者を選べるため、身内や投資家に購入してもらえば、売却後も自宅に住み続けることが可能です。
近所に知られずに売却が可能な点、引っ越し資金などの持ち出し金を減らせる点もメリットと言えるでしょう。
一方、任意売却は数か月の滞納が条件となるので、督促状や連帯保証人への連絡など精神的な負担に耐えなくてはいけません。
また任意売却する場合に限らず、住宅ローンを3か月以上滞納した場合は信用情報機関のブラックリストに登録され、大きなローンが組めなくなる可能性があります。
任意売却をおこなう流れ
任意売却をおこなう際はまず不動産を査定に出し、売却金額について確認します。
残債の金額も確認し、現状を把握しておきましょう。
次は弁護士や不動産会社に仲介を依頼し、債権者との交渉をおこないます。
債権者の承認が得られない場合などは、この段階で自己破産などほかの選択肢を選ぶことも必要になるでしょう。
同意が得られた場合は売却活動を開始し、売買契約を締結します。
その後、決済と引き渡しを済ませれば任意売却は終了です。
なお、売却金額が残債を下回るアンダーローンだった場合は、返済を継続することになります。
任意売却にかかる期間は3か月から6か月程度が一般的です。
まとめ
任意売却はローンの支払いが難しい場合などに競売を避け、返済の負担を減らすことが可能な売却方法です。
通常売却と異なる点が多いので、不動産会社や専門家に相談したうえで任意売却をおこなうかどうかを検討すると良いでしょう。
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